「大丈夫、起きた時には全部終わってる」

―――だから、眠れ。

青年の言葉に促され、ついに僅かに残っていた意識は、穏やかな眠りの波に流された。

力の抜けた少女の身体を、青年の腕が優しく支える。

それと同時にふわりと薄い紗のような膜が少女を包んだ。

その身体へと触手を伸ばそうとしていた闇は、銀の膜に弾かれて、少女を避けて広まっていく。

「――――お優しいことだ」

皮肉めいた声がレンバルトに掛けられた。

「同族討ちなんて悪趣味な事、見せたくはないんでな」

意識のない少女の身体を横たえて、当然とばかりに青年が答える。

「さて、と…。それじゃあ始めるか」

悠然とした王の言葉で、闘いの幕は開かれた。