「…リイエン」

そんな逡巡をしている己に、傍から声が掛けられた。

目を上げれば、そこには笑みを浮かべたレンバルト。

「お前は良い子だから、おとなしくしておけ」

そんな言葉と共に、何が、とその言葉の意味を聞く暇もなく、伸びた指先で優しく額を突かれた。

ただ、それだけ。

それだけなのに、身体の奥から強烈な睡魔が襲ってくる。

「…待っ、…レンバルト…」

一方的な力の行使に抗議すらままならない。

どうにか睡魔を晴らそうと頭を振ってみたりするものの、睡魔に追い立てられるまま、瞼は意志に反して閉じられてゆく。