青年が今まで話した事を思うと、そうとしか思えないのだ。

「…まァ、まだ続きがある」

リイエンの表情に片眉を上げた青年が、今度は髪を乱すように撫でる。

無言で聞けと促されているようで、リイエンは青年の顔を見上げた。

「俺達吸血鬼の中、っーかほぼ全員がそうだが、人間と馴れ合う同族に対して反感を持ってやがるんだ。脆弱な人間共と慣れ合うなんて言語道断許すまじ、ってな」

砕けた言い方をしながら青年の長い指がティーカップの横に添えられていた菓子を摘んだ。

そのまま口に放り込まれ、奥歯で砕かれる間を挟んでレンバルトが再び口を開く。

「特に人間なんかと愛し合った奴なんか、敵意を剥き出しにされるんだ」

ドクリ、と青年の言葉に心臓が高鳴った。

(人間と、愛し合った吸血鬼は敵意を抱かれる、って)

それじゃあ、父を殺したのは…