「何、ってそりゃお前…」

宙を経由してリイエンの隣に移動したレンバルトは、さも当たり前とばかりに口を開く。

「呼べば、どこでもお前のいる所ならすぐに来れたさ。…逆にいえば、呼ばれでもしなきゃ、簡単にお前の居場所に続く道なんか開けなかったし…。来てみりゃ、実際危なかったしな」

並べられていく言葉に、“呼ぶ”という事はそれ程大事な事なのだ、と知らされている気がした。

自分に何の力もないという事もあるが、吸血鬼の能力などレンバルトが見せた力の片鱗だけではいまいち理解できず、彼のような力があれば空間いくつ隔てても自分の所に来る事など簡単に出来ると思っていた。

それと、あの時彼を呼ばなければ、確実に今ここにいなかったのだ、と知らされて、今更ながらゾッとする。