吸血鬼と紅き石

逃げ続ける、と言えども永遠にではない。

彼―――レンバルトが来るまでだ。

それまでは絶対に逃げ切ってみせる。

父が死して尚、自分を守ろうとしてくれたのだ。

だから逃げる。

いや、逃げ切らねばならなかった。

例え足や身体が悲鳴を上げても。

疲れて足が上がらなくなってきている。

思い通りにならない自分の身体に歯ぎしりして、叱咤して。

そうして足を進めたその途端―――