吸血鬼と紅き石

空間を移動して他空間に逃げるにも、この空間に掛かる圧力がそれを許さない。

この空間を術者よりも先に破壊しようにも、先にこの圧力を破壊せねばならない。

それは命がけで掛けられた術には、命がけで挑まなければならないことを示す。

さらに術者を倒しても、この術は解けないのだ。


この術を破る方法はひとつだけ―――。

空間の外から、この空間に何らかの干渉を与えるのだ。

だが協力者も仲間も誰もいない自分には、タイミング良くこの空間に干渉してくる者などいる筈もなく。

女もそれを分かっているのだろう。

その唇には余裕の笑み。

(クソ…リイエン…!)

そう、歯噛みした時だった。