「相変わらず学習能力のない娘だな。我ら眷属の血をひいておきながら何の力も持たぬお前は、俺には敵わん」

そんなリイエンの様子を見て、男が喉を鳴らした。

(分かってる)

私にはレンバルトのような、この男のような力は何一つない。

ここに、いつも頼りにしていたレンバルトはいない。

自分が圧倒的に不利な立場にいるのは分かっている。

だが、それでもこの男をどうしても許すことが出来ないのだ。


再び男を睨み付けたリイエンの瞳を見て、男の唇が新たな玩具を見付けた子どものように歪んだ。