「寧ろあの虫けら共には礼を言われても良い位だ」

あのクズをこの俺の役に立ててやったのだから、と男が嗤う。

『お姉ちゃん、ごめんなさい』

その命が消える時、泣きじゃくっていたのを思い出す。

どうしても、親や兄妹に逢いたかったのだと。

きっと男に操られながらも尚、あのターニャの心は魂は、涙を流していたに違いない。

(この男は…!)

そんなターニャの想いを踏みにじる、目の前の男が許せなかった。

リイエンはギリ、と奥歯を噛み締める。