吸血鬼と紅き石

「ああ、あのガキか」

男が興味の欠片もなく呟く。

と同時にその指先に光が灯り、リイエンの前に見知った小さな姿が現れる。

「…っ、ターニャ!」

心配していた小さな妹分の姿に、リイエンは安堵の息を零す。

だがその光の膜に包まれたその姿に、リイエンはそれが現実のものではない事を悟る。

今目の前にあるのは、彼女の魂魄としての姿だ。

そして、その魂魄自体が傷付き、今にも消えそうだという事を。

ターニャの唇がお姉ちゃん、とリイエンを呼ぶ。

「ごめんなさい」

そう謝罪するターニャの瞳に涙が浮かんだ。

「お姉ちゃんをここに連れて来れば、カツールの皆を元に戻してくれる、ってあの男が言ったの。カツールを襲ったの、あの男だって知ってたのに」

大きな瞳から、次から次へと涙が零れ落ちる。