吸血鬼と紅き石

「村の人たちが、アンタに何をしたって言うのよ!」

リイエンの怒りの言葉にも、男は愉しそうに口許を歪めるだけ。

「どいつもこいつも助けてくれ助けてくれと煩かったが…ガキ共は更に笑えたな」

吸血鬼と人間だと、こうも感情が違うのか。

狩る側の傲慢な台詞にリイエンは目眩がする程の怒りを感じた。

「あの子達がアンタに何を…っ!」

言葉の途中でリイエンはダヤンの村で、目の前の男が言っていた台詞を思い出した。

「あなた…ダヤンで『ターニャは元から死んでる』って言ってたけど…あのターニャは、」

リイエンの言葉が途中で途切れる。

『元から』死んでるのだと言った。

カツールの村が襲われた時に死んでしまったとすれば、あの、レンバルトの城に来たターニャは一体――――