吸血鬼と紅き石

「何、お前さんのその血の一滴も無駄にはしないさ。心臓が吸血鬼を滅ぼすと言われているんだ。血にも肉にも、何もかも全てに何らかの力があるのだろう。大切に我らの体内に取り込ませて貰う」

まるでそうされる事がお前の持って生まれた使命だと言わんばかりの口調で告げる老人に、リイエンは吐き気を覚える。

自分の血を、肉を、喰らうと言っているのだ。

自分達が全てを有効に利用してやるから、有り難くその身体を差し出せと。

同族を喰らうなど、残忍だと称される吸血鬼と、一体どこが違うと言うのだ。