吸血鬼と紅き石

どうして、と言葉を発しようとして、己の口が大きな掌に覆われたままなのに今更気付く。

そんなリイエンの様子を察したのか、その手を離してやれ、と村長が促した。

「どう、して…」

掌が退けられ、ようやく自由になったリイエンの口から漏れたのは、短い疑問符だけだった。

「ふむ…何に対しての疑問か分かりかねるが、これからの事なら大丈夫だ。お前にはこの村を守る為に、紅き石になって貰う」

石の造り方は知っているかね、と聞いて来る老人に、首を振る気力も今のリイエンにはない。