吸血鬼と紅き石

その時。

ゆらりと揺れる、炎の動きに合わせたかのように、村人の間から小さな影が一歩前に進み出た。

(…ターニャ!)

暗い中でも見間違える筈もない、妹のように可愛がっている少女の、どこかを庇ったり怪我をした様子もない、その無事な姿に安堵する。

「この少女は、灰銀の吸血鬼――彼からの使いだ」

だがその安心も束の間、村長が告げた一言に、リイエンは再び目を瞠る。

(ターニャが、使い?)

意味が分からない。

どういう事なのか、何も繋がらない上に、頭の整理すらつかない。