吸血鬼と紅き石

そんなまさか、と思う心と、いや違う、と頭の中で響く警鐘が重なる。

聞いた話が一致する吸血鬼など彼一人しかいないと疑う心と、あの自分にくれた、言葉や態度は偽りではないのだと彼を信じたい心とが、リイエンの中でせめぎ合う。

彼が自分を、そしてターニャを騙してここに連れて来たとは、心のどこかで、頭のどこかで、どうしても思えない。

(そうだ、ターニャは?)

ハッ、と渦をなしていた意識が、手を打たれたように静まった。

うっかりしていた。

自分がこうして捕らえられているのだ。

紅き石の持ち主でないターニャは?

無事なのか、と今度は不安と心配がリイエンの胸と頭の中でせめぎ合う。