吸血鬼と紅き石

「こんな物など取っておくような性分じゃねェんだが…姿の写った物の方がオルフェルトの奴を捜し易かったモンでな」

奴には放浪癖があってな、と溜め息を吐く。

「一族の下らん集まりがある時は二人揃って必ず出席しろとジジイ共が煩くてよ。…ったく、俺だって逃げ出してェのにオルフェルトの野郎、ホイホイ抜け出しやがって…」

不満露に青年は唇を尖らせる。

まるで少年のようなその仕草が意外に思えてリイエンは目を瞠った。

「今回も、不吉に風が騒ぎ出したからな。コイツを使ったんだが…」


手遅れだったと青年は痛ましげに眉を潜める。

父の死を悼む青年の表情にリイエンの胸は同調するように、グッと痛む。