吸血鬼と紅き石

写真は青年二人が写ったものだった。

色褪せてボロボロになってしまったことから、古い古いものだと分かる。

灰銀を髪と瞳に纏う、目の前の青年と。

リイエンが良く知る、金の髪と瞳を持つ青年、が。

撮られた場所は、柱や装飾品からここだと分かる。

互いに黒いマントを羽織り、今よりも幼く見える、それ。

何時もリイエンが見ていた穏やかな光を宿す瞳ではなく、感じる雰囲気も瞳の色も、冷たく傲慢に感じる。

「どう、して…これ…」

見たことのない、だが明らかに父だと分かるその写真の青年を、リイエンの震える指がなぞる。

「どれ程前だったかは忘れたが…一度だけ、撮ったことがあってな。確か一族のジジイ共がやたらと子孫を残せと煩かった時だ」

その“一族のジジイ共”のことを思い出したのか、青年が苛立たしげに髪を掻く。