(…何を、言ったんだろう?)

彼のあの一言で、ターニャの態度が一変したのだ。

何を告げたのか、気にならない訳がない。

だが、彼に聞いた所で教えてはくれないだろう。

わざわざ自分に背を向けて、ターニャに耳打ちした彼の態度から、直ぐに見当はつくけれども。

(ターニャの説得はしない、って言ってたのに)

しかもあれだけレンバルトに反発していたターニャに、たった一言で言う事を聞かせるだなんて。

相変わらず謎の多い男の顔を見上げながら、リイエンは己を抱き締め返してくれる腕の中の小さな温もりが持つ柔らかなくせっ毛をそっと撫でた。