「……え?ターニャ、今何て…?」

あれだけ駄々をこねていたのに、急に自分から村へ行くと言い出したのだ。

説得しておいて何故と聞くのもおかしな話だが、正直そこまで今のリイエンには考えが回らない。

「あたし、ダヤンに行く」

今度は真っ直ぐにリイエンを見上げて、もう一度ターニャが告げる。

そうした方が良いと、彼女の命を守る為なのだと信じて説得していても、実際口にされるとやはり寂しさが込み上げる。

「ターニャ…」

リイエンは少女の名を呼んで、その身体をきつく優しく抱き締めながら、自分達の傍らに立つレンバルトを見上げた。