眠気を我慢しながら 玄関扉を開いても 毎朝僕を迎えていた 元気過ぎるあいさつは もう聞こえません 「歩くのおっそいなぁ めがっちは!」 少し小さめの手で 僕の腕を引っ張り そこら中に聞こえそうな声で 何度も僕を呼び 隣を見れば 明るく笑う 「……」 でも そこにはもう 広い空間がぽっかりと 穴を開けているだけでした