帰りの車の中
楽くんは
ぐっすり眠ってしまった
後部座席で
チャイルドシートの
楽くんの隣に座り
すやすや
寝息をたてる楽くんに
そっとフリースの
膝掛けをかけた
「今日は付き合わせて
ごめんなさい」
雅哉さんの声に
前を向くと
ルームミラー越し
目が合う
「いえ、楽しかったです」
「本当ですか?」
雅哉さんはクスクス笑いながら
「お兄ちゃんのこと
考えてたんじゃ」
「――――なっっ」
思わず大きな声が出て
隣の楽くんを見て
両手で口をふさぐ
なんで雅哉さんがそんなこと
「あれ?覚えてない?
前に飲んだ時
松雪さん
『お兄ちゃんが好き』って
教えてくれたよ?」
「うっ!嘘……」
「こんな嘘ついても仕方ないよ
ライバルがお兄さんじゃ
諦めきれなくて
だってお兄さんは
恋愛対象とは違うでしょう」
そうだよね
普通はそうだよね
「オレはブラコンでも
全然いいから」
「え?」
「ブラコンの松雪さんごと
オレは愛せます」
カァァァァァァァァ……
愛 とか 言われて
一気に頬が火照る
「楽のためにも
オレはあなたを
諦めたくないし」
……楽のためにも
その一言はズシンと重かった



