悲鳴を上げたくなるのを堪えて、その姿をじっと見る。

白いワイシャツに映える赤は見事なまでに鮮やかで。

肩を押さえていたのだろう。手も同じように赤く染まっている。

更によく見ればまだ私と同じ年くらいの人じゃないか。

目を閉じて動かずにいたから、“起きて”と揺らしてみたけれど反応はない。

もしかして死んでいるの!?手遅れだったの?そんなまさか。

如何すれば良いんだろう?救急車……だよね?

携帯を取り出して救急車を呼ぼうとしたその時だった。

突然誰かに手を握られたのは。誰かと言うのはもう決まっている。

血を流して倒れている、黒に近い焦げ茶色の髪の少年だ。