そんな彼の席には少しでも仲良くなろうと、いろんな女の子がやってくる。


頬をほんのり染めながら、一生懸命アピール。
恋の力ってスゴい。
私には真似できないや。



皆の邪魔をしないように合間をくぐり抜け、自分の席まで辿り着くと、案の定誰かが座っている。

「ゴメンね浅野さん、ちょっと席借りてるから♪」

クルンとバッチリ決まったまつ毛に大きな目、クラスで一番可愛い立花美香さんから、


「ね?」


と可愛らしく首を傾けお願いされれば断れるはずもなく…。


「…うん、どうぞ」

力なく笑い、席を譲る。
まぁ、これもいつものこと。