その一人目が 玲だったら良いと 僕は思う。 玲の手が触れて、 僕の手を握ろうとして。 僕の手が玲の手を確認して 握り返そうとした。 僕の掌に玲の温もりが 伝わってきた。 !! ―――はずだった。 握ろうとした。 じゃない。 握った。 僕は玲の手を 確かに握った。 だから、今だって 玲の手の温かさも、 小ささも、柔らかさも。 ちゃんと覚えているのに。 なのに。 今握っているのは 自分の手だった。 拳が握られていた。 「玲?」 居るはずの人が居ない。 目の前に玲がいない。