戸惑う俺に奈美さんは続ける。
「依知君は、やっぱ那知の弟だけあって背格好がそっくりだし、俳優さんも那知に似たようなの選んでるから…。
セリフとかは、あとで那知役の俳優さんと合成するみたいだから心配しないで!
後姿を撮影するだけ」
「で…でも―――」
「それに、今の段階でかなり撮影押してるの!
お願い、依知君!」
この奈美さんの言葉をきっかけに、俺は今ドラマ関係者の注目の的となった。
…やっぱ、やれってことなのかよ?
俺は覚悟を決めると、奈美さんを見た。
「…すぐ済みますか?」
「セリフ覚えて、何回か練習したらすぐ済むよ!
セリフっていっても、短いから安心して?」
「…分かりました、やりますよ」
俺の言葉を聞いた、ドラマ関係者は大喜び。
でも、俺の心は曇り空だ。
俺は、スタッフの人から早速台本を貰った。
…自慢じゃないけど、俺は大抵のものなら一回読んだだけで覚えることが出来る。
台本を読み進めていくと、気になるシーンを発見した。
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