泣き叫んだ後からいつまでも動かないあたしに対して、女の人はかなり困っている様子。



…決心しなきゃ。

あたしは、いっちゃんとこの人の恋を応援すること。


いっちゃんはあたしより、絶対この人の方を選んだほうが幸せになれる。


あたしなんか、いつも周りを見る余裕なんかなくて、自分のことで精一杯。

あたしがいっちゃんの荷物になってしまいそうで。


それが怖いんだ。


いっちゃんをあたしから解放してあげなきゃ。

いっちゃんの幸せを第一に考えなきゃ。



弱虫なあたしだけど、それが唯一あたしに出来る方法。


大好きだからこそ、想い続ける。

大切な存在だからこそ、幸せになってほしい。



あたしは握り拳を作ると、そっと口を開いた。



「あたし、いっちゃんのことが好きです。

絶対にこの気持ちは一生変わらないと思います。



だけど、いっちゃんはあなたと過ごした方が幸せになれると思うんです。

こんなあたしといるよりかは。



何回も言いますけど、あたしはいっちゃんが大好きなんです。


だけど、いっちゃんの幸せな顔を見られなくなることは、もっと嫌なんです。



だから………
あたしは、この恋から身を引きます。


いっちゃんとあなたの幸せを願って」




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