あたしは目を見開いて、「彼」の方を見た。



河村 依知。

あたしの幼なじみ。



通称・いっちゃんは、あたしが小学校一年生の時、親の都合で遠くの町に引っ越してしまった。



あたしは、それから何度も泣いた。


仲良しだった人がいきなりいなくなるのは寂しかったから。





それからのあたしは、いっちゃんが残していってくれた言葉を信じて待ち続けていた。



―――『いつか迎えに来るから』






そして、今、本当に約束を守って帰ってきてくれた。


あたしの目は、瞬きをしようとせずにいっちゃんを見つめ続けた。





よく見れば、顔立ちも昔とそっくり。


でも、背は高くなって、男らしくなってる。



あたしと離れていた何年間かで、こんなにも変わってしまってたんだ。




少し複雑な気持ちになりながらも、あたしはいっちゃんを見つめ続けていた。





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