普段、光里を抱きしめようとしても嫌われそうで怖くてできなかった。
でも、今回は素直に抱きしめることが出来ている。
…光里ってこんなに小さいんだな。
俺は小さい頃の光里しか記憶に無かったから、光里がこんなに小さいとは思ってもなかった。
光里の温もりを感じながら抱きしめていると、俺の胸に強い衝撃が走った。
突然のことに、顔が曇る。
衝撃の正体は、光里が俺を突き飛ばしたからだった。
「光里…?」
「――――でよ」
さっきとはまるで別人のような光里に戸惑いを覚える。
光里の目は、俺を睨みつけているように見えた。
「…光里?」
「あたしに触らないで!!」
…一瞬、何を言われたのか分からなかった。
拒絶の言葉に、胸がズキンと悲鳴をあげる。
そんなに、俺に触れるのが嫌なのか?
そんなに、俺を見るのが嫌なのか?
「あたし、もう限界だよ。
あの女の人に触れた手で、あたしのこと触らないで!!」
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