俺は青木に対して罪悪感を感じながらドアを蹴り破った。


そこには、ある一人の男の服の裾を必死で掴んでいる光里がいた。


その逃げようとしている男は、同じサッカー部の坂口という一年だった。



「いっちゃん…!!」



「大丈夫か、光里?

って、待てよ!!」



光里が油断した隙を見て、坂口は窓から逃走した。



坂口がいなくなって、急に静かになった光里の部屋。

光里の格好を見ると、濡れたパーカーがはだけていた。

…坂口のヤツ、絶対に許さねー。



俺が坂口に対して怒りを燃やしていると、突然光里が泣きはじめた。


俺は光里の顔を見る。



「大丈夫か、光里」



「…だ…だい…じょうぶ…うっ…っゔ…」



俺があの時光里に着いて行ったら、こんなことにはならなかったのに。



「…こんな細い体で、怖かったよな…。

光里、よくがんばったな」


そう言って、俺は光里を抱きしめた。




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