「遅せーよな、光里」



俺はパラソルの下に寝転びながら呟いた。


光里が服を取りに行ってから、はや十数分。

なのに、一向にあいつは戻ってくる気配がない。



別荘に行ったとしても、ここに帰ってくるのには遅くても五分あれば余裕だ。


青木の別荘は海に近いからな。



「あれ、光里は?」



気がつくと、俺の前には青木がいた。

クーラーボックスから、ペットボトルを取り出す。



「服取りに別荘戻った」



事情を説明すると、青木は困惑したような表情だった。



「なあ、河村。

別荘戻って光里連れ戻してこい」



「了解。

俺、別荘戻って見てくるわ」



青木の頼みもあり、俺は別荘に戻る為に立ち上がった。



「じゃあな」



「光里が戻ってきたら昼飯だからな」



青木の言葉をバックに、俺は別荘へと歩き出した。




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