…いっちゃんの声がした。
あたしは思わず叫んだ。
「いっちゃん!!
…助けてっ!!」
「やっぱり光里か!
今行くから待ってろ!!」
いっちゃんはドアを開けようとするが、鍵がかかって開けられない。
それでもドンドンという音が部屋中に響く。
「くっそ…」
予想外の展開に焦った坂口くんは、あたしから退いて窓から逃げようとしていた。
「絶対に逃がさないんだから!」
身体が自由になったあたしは、坂口くんの服を掴む。
そして、ドアを蹴破って、いっちゃんが部屋に入ってきた。
「いっちゃん…!!」
「大丈夫か、光里?
って、待てよ!!」
あたしがいっちゃんと話している隙をついて、坂口くんはあたしの抵抗を振り切って窓から逃走した。
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