「嫌ぁっ………!!」
あたしは近づいてくる坂口くんの顔を必死に手で押し返す。
だけど、そこはやはり男の子。
びくともしない。
泣き叫ぶあたしの声が部屋中に響き渡る。
そんな状況が、坂口くんをどんどん最悪な気分にさせていく。
「手、邪魔なんだけど」
冷たく言い放つと、必死に抵抗を続けていたあたしの手を掴み、頭の上でひとつにまとめられた。
…これじゃ、何にも抵抗出来ないよ!!
「助けてーっ!!」
出来ることが叫ぶことしかなくなったあたしは、必死に声を張り上げる。
そんなあたしを、坂口くんは嘲(あざけ)笑った。
「ほんと、黙っててくんないかな。
叫んだって誰も来ないのに」
坂口君の表情が、また一段と悪魔に近づく。
あたしは最後の声を振り絞った。
「…助けてっ、いっちゃん!!」
「ほんとバカだな。
河村さんが来るはずな―――」
「おい、光里??」
あたしの耳には、しっかりといっちゃんの声が聴こえてきた。
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