たっちゃんに全てを話し終えると、海はもう目の前に迫っていた。
「すごい…」
「だろ?
じゃ、しっかり楽しめよ」
そう言い残すと、たっちゃんはどこかに去って行った。
取り残されたあたしは、キラキラ輝く、エメラルド色の海に近づいた。
波の音が大きくなる度に、あたしの心臓の鼓動も大きくなる。
…ハワイの海って、こんなに綺麗なんだ。
あたしが海水に手をつけようと屈んだときだった。
―――バシャンッ…!!
「うわぁっ……!!」
あたしは、誰かから背中を押されて海に突き飛ばされたみたいだった。
海は思ったよりも冷たくなかった。
あたしは咄嗟に後ろを振り返った。
「いっちゃん…」
「何してんだよ、光里」
いっちゃんは、笑いながら立っていた。
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