「…っと、これでよし!!」
光里は手当ての出来に納得したように頷いた。
部室に着いた俺は、光里に手当てをしてもらっていた。。
「ありがと、光里」
俺は巻いてもらった包帯を見ながら言った。
でも、ちょっと切ったくらいで、包帯はやりすぎだろ…。
俺が包帯の巻き具合を確かめるために手を動かしていると、光里が口を開いた。
「でもいっちゃん、さっきはすごかったね。
女の子達びっくりしてたもん」
「あんくらい言わねーと、あいつらも引かねーだろ」
「…いっちゃん、強くなったね」
「は??」
俺は言われている意味が分からずに、光里のほうを見た。
「だって昔、いっちゃん泣き虫だったじゃん?」
そう言って、光里は笑った。
無邪気に笑っている光里を、愛おしく思えた。
「あれは、俺が小さい頃の話だろ?
もう、俺はあの頃と比べたら大人なんだよ。
…大切な人、守れるくらいにはならないとな」
俺は、光里のことを守れるくらいに強くならねーと、意味ねーんだよ。
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