「いや、依知くん。

俺はお前を尊敬したよ」



そう言って、青木は俺に抱きつこうとしてきた。



「お前…冗談でもやめろよ……」



俺はあいつを寸止めした。

こんなヤツに抱きつかれられたら精神的ショックがハンパない。


俺が青木に呆れていると、青木が急にビックリした表情になった。



「河村、手から血出てる…」



青木に言われて見ると、俺の手からは少し血が出ていた。


さっき手を壁に打ち付けたときに擦れたらしい。



「困ったな……。

光里、河村を手当てしてあげて欲しいんだけど」



「わ…分かった!!

部室行くよ、いっちゃん!!」



「お…おい…!!」



光里は俺の手を無理やり引っ張って部室に向かっていた。


後ろを見ると、ガッツポーズをしている青木。



…青木が仕組んだのかよ。




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