「河村!!
お前歩くの速えーよ!」
「あ…すまん」
いつの間にか俺に追いついていた青木が俺の肩を叩く。
青木も充分速いと思うけどな、俺は。
「あのさ…、俺思ったことあるんだけど……」
いきなり、青木の声の表情が変わった。
それは…真剣そのもの。
「なんだよ」
「お前、光里のこと好きだよな?」
―――ドカッ…!!
俺は廊下の柱に体をぶつけてしまった。
「あーあ。
成績優秀・スポーツ万能って噂の河村くん、何してるのかなあ?」
「何言い出すんだよ、いきなり!」
俺としたことが、情けなさすぎる。
そんな俺を見た青木は、さらにからかってきた。
「やっぱり好きなんだ」
「…うっせーよ……!!
好きで悪いか!!」
俺はムキになって、青木の言葉を認めてしまった。
…何やってんだ、俺。
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