「だから、今回の二人の事は、本当に謝りたかった…」
「なんで雄太君が謝らなきゃいけないの?」
あたしがそっと呟くと、雄太君は哀しい表情を浮かべた。
「俺、なんだかんだでまだ佳奈と打ち解けられていないんだ。
だから、今回も佳奈の言う事に逆らえなくてお前らを引き離そうとしてた。
…でも、それはやっぱり間違ってたよな?」
雄太君は、あたし達にひたすら頭を下げ続けた。
あたしといっちゃんは顔を見合わせる。
「雄太、顔上げろって」
いっちゃんの声に反応して、福井君はそっと顔を上げた。
「俺らは何も怒ってねーから。
逆に、光里の必要性を感じさせてくれた訳だしな」
「…許してくれるのか?」
「当たり前だよ、雄太君!!」
弱気な雄太君に、あたしといっちゃんは笑いかけた。
「…ありがとな、二人とも。
俺も、兄として佳奈と打ち解けられるように頑張るわ」
「頑張れよ、雄太」
雄太君の決意を聞いた時、タイミングよく授業の始まりを知らせるチャイムが鳴った。
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