授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り、お昼休みが始まろうとしている。
そんな中、いつもと違う状況にあたしは戸惑っていた。
…佳奈ちゃんが今日、一回もいっちゃんに会いに教室に来ていない。
廊下で一回だけ佳奈ちゃんを見かけたから、学校を休んでいるという事ではなかった。
…どうしたんだろう。
あたしにとっては嬉しい事のはずなのに、何故か嫌な予感しかしなかった。
「光里、お昼食べようよ」
「うん!!」
あたしは手を振って自分の席に玲を呼ぶ。
あたしの席に着いた玲は、近くのイスを取って笑いながらご飯を食べ始めた。
…いつぶりだろう、こんなに笑ったのは。
玲はいつもあたしの心配ばかりしてくれていた。
だから、お互いこんなに本気で笑ったのは久しぶり。
そう思った時、いきなり教室のドアが音をたてて開いた。
その音に驚いて、クラス中の視線がドアの方にいく。
そこにいたのは…佳奈ちゃんだった。
でも、何かいつもと違う雰囲気を持っていた。
そんな佳奈ちゃんは、珍しい事にいっちゃんには目もくれずあたしの方に向かって来ていた。
いつもと違う佳奈ちゃんに、あたしと玲は目を合わせる。
そしてあたしの予想通り、佳奈ちゃんはあたしの目の前で止まった。
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