「えーっと…。
そこのお二人さん?」
光里の体温を思う存分感じていた俺。
そんな時、この幸せな雰囲気を邪魔したヤツがいた。
…くっそ、誰だよ!!
俺は怒りに満ちた表情で振り返った。
「そろそろ休憩終わりだから」
そこには、苦笑いをしながら俺達を見る青木がいた。
「わわわっ…!!」
光里は顔を真っ赤にしながら、慌てて俺から身体を離した。
青木の表情からして、もうすぐ練習が再開されるのだろう。
「じゃ、俺行ってくるわ。
あとは任せたぞ、マネージャーさん」
「頑張ってね!」
俺が光里に向かって手を挙げると、光里は笑顔で手を振ってきた。
俺は幸せな気持ちのまま、青木と共にグラウンドへと向かった。
…ただ、この光景を佳奈が見ているとは知らずに。
そして、この先の俺達の関係が崩れていく事も知らずに…。
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