突然叫び出したあたしを見て、雄太君はかなり驚いている。
あたしは怒りが収まらず、睨みつけるようにして言葉を続ける。
「あたしといっちゃんは、十年の歳月を経て幸せに暮らす事が出来るようになったの。
…それなのに何なの?
自分の妹の気持ちしか考えないでいるヤツには、あたしの幸せを邪魔する資格なんてない!!」
あたしは身体中の力が抜けてその場に座り込む。
枯れたはずの涙が再び出てくる。
…関係ない人に、あんな事言われるとか悔しいよ。
あたしは涙を堪えようと目を強くつむると、弱々しい雄太君の声が聞こえた。
「…あいつは、俺の妹じゃねえよ」
「…え?」
…どういう事?
あたしは流れ続ける涙を拭きながら雄太君を見る。
その顔は…とても寂しそうだった。
あたしが詳しく尋ねようとした瞬間、屋上の入り口から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「光里っ…!!」
振り返ると、そこには息を切らした玲がいた。
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