「それじゃ、青木と宮本がくっ付いたと言う事で…」



そう言って、いっちゃんはあたしに手を差し出してきた。


あたしが呆然としている間にも、いっちゃんはずっと手を差し出している。



「…あ、チョコ!?」



あたしが思い出したように大声で言うと、いっちゃんは大きく頷いた。


…なんかいっちゃん、かわいいな。



そんな事を思いながらも、あたしはキッチンへと向かい、冷蔵庫から作っておいたチョコを取り出すと、再びリビングへと戻った。



「お…美味そ!!」



「いっちゃんの作ったものには及ばないけどね」



あたしが苦笑いを浮かべながら差し出した物。

それはチョコケーキだった。


いっちゃんに気付かれないように、深夜という眠い中で作った物。



いっちゃんは子供に戻ったように、あたしの用意したフォークを持って、チョコケーキを食べ始めた。



「まじ美味い、これ!!」



フォークを持ちながら、笑顔で笑ういっちゃん。


…この笑顔が、あたしの心をくすぐるんだよね。




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