愛しい人にずっと伝えたかった言葉を、たった今伝えることが出来た。



「これで、前みたいに離れ離れになる事はねーから…」



「―――ヒック…、う…うんっ!」



玲は泣きながらも、俺に最高の笑顔を見せてくれた。



幸せってこういう事を言うんだな、としみじみ感じていると、思い出したように玲が動き出した。



「あ…あのね?」



玲はいきなり俺に向かって袋を渡してきた。


俺は戸惑いながらも袋を開けた。



「…こ、これ」



「頑張ったの。

今日バレンタインだから…」



そこには、美味しそうな匂いに包まれたガトーショコラが入っていた。


…俺達の、思い出の物。



「ありがとな?」



俺が玲の頭を撫でると、玲は嬉しそうに肩を竦めた。



…俺達も、光里や河村みたいな、そんな関係を築いていこうな、玲。




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