「ひぃ…ひぃ…ふぅ……」



あたしは今、青木君の家の目の前。

必死に緊張する心臓を呼吸で整えてる。


…なんで出産時の呼吸法なの?っていう事はノーコメントで。



とにかく緊張する…。

心臓が五月蝿い。



…やっぱり、行かないでおこうかな?

…それより、時間を伝えておいた方がよかった?



あたしが頭を抱えようとした時、突然後ろから声が聞こえてきた。



「…宮本?」



聞き覚えのある声。

あたしは高鳴る心臓を抑えながら、後ろを向いた。


そこには、どこかに出かけていたと思われる、あたしが一番会いたかった人…青木君がいた。



「…どうした?

俺ん家の前で…」



「えっと…」



あたしは恥ずかしさに頬を染める。


…何て言えばいいの?

この状況どうすればいいの?



挙動不審な行動を取るあたしに、青木君はただ不思議がるばかり。


そんな青木君を見たあたしが発した言葉。


それは…



「散歩でもしない?」



…何言ってるんだろ、自分。



あたしが自分の言ったことを後悔していると、青木君がいつもの優しい声で話しかけてきた。



「いいよ、散歩しよ」




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