「いい…いっちゃ…」



テンパるあたしとは対照的に、クールな表情で何事もないかのように振舞ういっちゃん。


あまりにも緊張し過ぎて、あたしは呂律が上手く回らない。



「あらら。

光里ギブアップ？」



そう言ったいっちゃんは、そっとあたしの首筋に唇を近づけた。



「…いっ……や…ぁ…」



あたしは恥ずかし過ぎて、いっちゃんから顔を背ける。


自分のモノではないような声がリビングに響く。



「…光里かわいい」



いっちゃんがそう呟いた時、ちょうど家のチャイム音が鳴った。


あたしは咄嗟に我に返る。



「…玲が来た！

いっちゃん退いて！！」



「タイミング最悪」



少しだけご機嫌斜めになったいっちゃんは、ぶつぶつと呟きながらあたしから降りる。


すっかり茹でタコ状態のあたしを見兼ねてか、いっちゃんが玲を迎えに玄関に行った。



…あたしも行かないと！

あたしは顔が茹でタコ状態になっていることをすっかり忘れて玄関に行った。




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