二月十三日、土曜日。
明日はいよいよバレンタインというこの日。
今日は、我が小原家で玲と一緒にチョコ作りをする予定になっている。
あたしはキッチンで材料の準備を終えると、バライティー番組の再放送であろう番組を見ているいっちゃんがいるリビングに移動した。
「もう準備終わった?」
「うん。
…って、お父さんとお母さんはどこ行ったの?」
あたしが辺りを見回すと、いっちゃんが苦笑いをした。
「さっき、いきなり「デートしてくるから」って言いながら出て行った」
「…お父さん、お母さん」
あたしも苦笑いをしながら、いっちゃんが座っているソファーに座った。
そして、ふと隣にいるいっちゃんの方を向いた。
「えっ………」
あたしは思わず反応してしまった。
だって…悪魔のような笑顔で、あたしの事を見ているいっちゃんがいたから。
…嫌な予感がする。
「ど…どうしたの?」
あたしは引きつった顔でいっちゃんの様子を伺う。
そんなあたしをよそに、いっちゃんは表情を変えないまま、いきなりあたしをソファーに押し倒した。
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