宮本が俺の元に現れて、俺が変わってから二ヶ月経ったある日。



俺が家で雑誌を読んでいると、突然ケータイの着信音が鳴った。


ケータイをジーンズのポケットから取り出して、何気なく着信先を見る。

…と同時に胸騒ぎがした。



俺はケータイを握りしめたまま、電話に出るべきか出ないべきかを必死に考えていた。



電話に出たら、完璧に宮本の母さんや宮本の努力を無駄にしてしまう。


だけど、電話に出なかったらいつまでもこんな関係が続くだけ。



俺は必死に考えた挙句、



「もしもし…」



電話に出てしまった。



そして、急いで家を飛び出して近くにある公園に向かった。



今かかってきた電話。

それは、夜遊びをしていた時代の仲間からのものだった。



俺が電話に出なかったら、別にこんな事をする必要はない。


だけど、ちゃんとけじめをつけておきたかった。


そして、けじめをつけた俺を宮本に見て欲しかった。


ただ、その思いがあったから。



「よお、久しぶりじゃねぇか」



公園をうろつく俺の前に現れたのは、夜遊びをしていた仲間達。


ざっと数えると、十人くらいはいるだろうか。



しかし、もうあいつらは俺の仲間ではない。


俺は変わると決心したから…。




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