…こんなに弱そうなたっちゃんは初めて見た。


今にでも泣いてしまいそうな、そんな感情があたしの中を巡る。



…たっちゃんの弱そうな姿って、こんなにも他人を苦しくさせるんだ。



たっちゃんという存在は、いつも明るくて元気。


クラスのムードメーカーだった。



…だけど、あたし達の見えない所で、たっちゃんはずっと悩んでたんだ。



それに気付いてあげられなかったあたしってバカだ…。



そんな悔しさに揉まれながら、あたしの頭の中にはひとつの疑問が生まれていた。



「…ねぇ。

今…たっちゃん、「俺の事を覚えていない」って言ってたよね?


それってどういうこと?

昔、二人の間に何かがあったって事?」



あたしの質問に、たっちゃんはただ首を縦に振る。


そして、しっかりとあたしといっちゃんの方を見て、玲との過去を話し始めた―――




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