「ちょ…何す―――」



「いいから着いて来て!」



あたしは嫌がるいっちゃんを、無理矢理教室の隅っこに連れて行った。

そして、小さな声で問い掛けた。



「…いっちゃん、たっちゃんとお泊りする気ない?」



「は…?」



突然言われた言葉に、いっちゃんの眉間の皺が寄る。



「だからっ!

あたしといっちゃんとたっちゃんの三人で、家にお泊りしようって言ってんの!」



あたしは小言で訴える。

だけどいっちゃんはあまり乗り気ではないみたいだった。



「…俺と光里は一緒に住んでるからいいけどよ。

なんでそこに青木が入ってくるんだよ?」



「ちょっとね…?」



あたしは意味深な笑顔を浮かべた。


そんなあたしを見て、いっちゃんは何かに感づいたのか、そっとため息をついた。



「分かった、青木に提案してみるわ。

だけど、絶対に青木とイチャつくなよ!」



いっちゃんはあたしの頭をグリグリしながら強めに言った。



「分かってる!」



「それならいいわ」



いっちゃんはたぶん、あたしが何をしたいかって事を勘付いてると思う。



「お泊りの時が楽しみっ!」



小原光里、十七歳。

大好きな親友のために一肌脱いじゃいます!




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