歩き出した玲は、あたしの言葉を聞いて屋上のドアにぶつかった。
―――そ…そうなの?
玲って、たっちゃんのこと…!
「…いきなり何言い出すの!」
そう叫ぶ玲は、凄く顔が赤い。
あたしは玲に近寄る。
「たっちゃんの事、気になってるの?」
「…いや、気になるというか。
昨日、隆と別れた後に青木君に会ってさ。
あたしが泣いてた事、青木君は気付いてたんだと思う。
だからだと思うけど、あたしの頭を撫でて、「言えるときになったら俺に言えよ」って言ってくれて…」
そして、玲はあたしに言った。
「だけど、青木君のことを好きって訳じゃないから!
ただ、その優しさに癒されたって言うか…」
そうだよね…。
昨日隆君と別れたばかりなのに、すぐに好きになるってことはないか…。
「じゃ、隆くんの事をきちんとけじめつけたら、新しい恋頑張らなきゃね!
今、玲に一番近い男の子はたっちゃんなんだから」
「あたしが好きになってたらね?」
あたし達が笑い合ったままでいると、授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り響いた。
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