「そろそろ教室戻ろっか、光里」
「そうだね。
朝のあたし達の様子見てる限り、いっちゃんもたっちゃんも玲のこと心配してると思うし」
「えー?
きっと二人ともあたしの事なんか心配してないよ」
そう言った瞬間、玲はほんのり顔を赤くした。
…え?
何故に玲が顔を赤くしたの?
そして、一瞬にしてあたしの頭を嫌な考えが支配した。
「れ…玲って、もしかして…
いっちゃんのこと…気になってるの?」
あたしは勇気を振り絞って玲に尋ねてみた。
いくら玲でも、大好きないっちゃんを譲ることは出来ないよ…。
あたしが返事を恐る恐る待っていると、突然玲が笑い始めた。
「…あははっ!
そんな訳ないでしょ?
河村君は光里の彼氏なんだし」
…へ?
咄嗟に玲を見てみると、本当に違うって感じの顔。
「…あたしの勘違い?」
「当たり前でしょ」
玲はまだ笑い続けている。
じゃあ、残ったのは…。
「光里、教室行くよ」
玲が立ち上がって歩き出した時、あたしは叫んだ。
「たっちゃんっ!?」
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