しばらく二人で泣き合った後、玲はあたしから離れた。

その表情はさっきまでとは違い、すっかり明るくなっていた。



「…なんかゴメンね?

あたし取り乱しちゃって…」



「気にしないでよ!

玲は笑ってるほうが似合うんだから」



「ありがと、光里…」



玲はあたしにいつもの笑みを見せてくれた。


よかった…。

いつもの玲だ。



あたしはホッとしながらも、玲の頬を摘んだ。



「でも、これから何かあったら、絶対あたしに言ってよ?

玲、すぐ抱え込むんだもん」



「分かった。

光里に心配されるとか、もうおしまいだしね」



「えっ!?」



あたしが玲の言葉を真に受けようとすると、「冗談だから」と玲から訂正が入った。


あたしがよかったと安心したと同時に、玲が真剣な顔をしてあたしの方を向いた。



「…あたし、近い内に隆とけじめつけてくるから」



「け…けじめ?」



あたしが聞くと、玲は静かに頷いた。



「実はね、昨日隆から「別れよう」って言われた時に、ショックが大きくてサヨナラ言わずに出て行っちゃったんだよね…。

でも、やっぱり楽しい思い出もたくさん貰ったし…。


だから、ちゃんとありがとう言いに行く」



そう言い切った玲の顔は綺麗だった。




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